USB電源用のノイズフィルターを作る

USB電源ノイズフィルター 電子工作
USB電源ノイズフィルター

はじめに

デスク上のスピーカーたち
デスク上のスピーカーたち

私のデスクの上には写真のように スピーカーが2セットあります。小さくて四角いものはダイソーで300円で買ったスピーカーで、サブPC・サーバPCなど色々なソースの通知音をまとめて鳴らすようになっています。通知用なので 音質は特に求めていないのですが、小さい音ながらキーンという高い音が鳴って耳ざわりでした。電源はUSBのACアダプター(充電器)なのですが、ここからスイッチングノイズがのってしまっているようです。

そこでUSB電源からノイズを除去する ノイズフィルターをつくってみました。

※私は電子回路の専門家ではないので、間違った記述・手法をしている可能性があります。

USB ACアダプター

USB ACアダプターたち
USB ACアダプターたち

手持ちのUSB ACアダプターをいくつか調査したところ、価格重視で買っているためか、どのアダプターにもリップルノイズがのっていました。一方で スマホの付属品のアダプターをいくつか調べると、どれもノイズがほぼありませんでした。スマホ付属品のアダプターを電源に使えば良いのですが、1ポートしかないので この場所には使いたくないのです。

ノイズについてですが、どのアダプターも似たような形状のスパイク状のリップルノイズがのっており、周波数は 17kHz-20Hzほどでした。実際の波形は記事後半にあります。

ノイズフィルターを作る

というわけで、ノイズフィルターを作ります。

簡単にいうと 直流成分を残して交流成分を除去したいので、インダクター(コイル)を直列に接続して、コンデンサーを並列に接続します。

今回 使用した部品は以下です。だいたい秋月電子通商で購入しました。

  • トロイダルコイル 470μH 9A 1個
  • 電解コンデンサー 1000μF 35V 2個
  • 積層セラミックコンデンサー 10μF 25V 2個
  • USBコネクター・プラグ・基板など

コンデンサーの容量やコイルのインダクタンスは適当に大きいものにしました。USB電源なので耐圧、最大電流についてはもう少し低くても大丈夫でしょう。また、耐圧・電流に気をつければ、コネクターを替えて一般のDC電源にも使えます。

材料費は400円程度です。スピーカーより高くなってしまいました。

回路図
回路図

回路図は上記になります。簡単です。電源と機器の間に接続して使います。

電解コンデンサーの他に積層セラミックコンデンサーを使用しているのは、両者の周波数特性が異なるので試しに入れてみました。(適当です。)

一応 USBのデータ線も接続しました。

完成品
完成品

出来上がったのが上の写真の物です。

おまけで手元にあったフェライトコアもつけてみましたが、効果はほとんどないようでした。

ケースは作っていないので、ポリイミドテープでぐるぐるまきにして絶縁して使っています。

効果の検証

ノイズ除去効果について検証します。以下の実験では、電源に20Ωの負荷を接続して、250mAの電流を流して測定しています。直流オフセットは除去した波形です。

波形 - フィルターなし
波形 – フィルターなし

ノイズフィルターを使用しないときの波形が上になります。

約20kHz・640mVp-pのノイズが発生しています。

波形 - フィルターあり(1)
波形 – フィルターあり(1)

ノイズフィルターを使うと上図のようにノイズが非常に小さくなりました。

波形 - フィルターあり(2)
波形 – フィルターあり(2)

拡大してみると(上図)、40mVp-p程度のノイズが残っています。

単純にノイズの振幅で比較すると、ノイズは 1/16 ほどになりました。

波形 - フィルターあり(3) 低周波
波形 – フィルターあり(3) 低周波

時間スケールを変えて(上図)、低周波について見ると、100Hz 10mVp-p 程度のハムノイズも見えます。今回のノイズフィルターは高い周波数ほど減衰させるので、このような低周波ノイズはあまり除去できません。

実際の使用感・まとめ

実際にスピーカーの電源に 今回のノイズフィルターを接続しました。キーンという音はほとんど聞こえなくなり、スピーカーに耳を近づけるとわずかにノイズが聞こえる、程度になりました。実用になるほどの効果はありましたが、ノイズが知覚できないほどにはならなかったので少し残念です。

コイルやコンデンサーの容量を大きくすれば、性能向上が期待できます。

音が完全にはクリアにならなくて ちょっと悔しいので、また今度 別のアプローチの対策を試してみるかもしれません。

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