ざっくりいうと
CR-10S Pro のレベルセンサーは温度によって出力がかなり変化してしまって使い物になりません。なので手動でレベル調節する方法を解説します。
前置き
CR-10S Pro のレベルセンサーの出力は温度によって変化し、実用的でないです。冷えているときと温まっているときで、1mmほど変化します。温まっているとZ位置が下がります。ノズル温度とベッド温度が一定でも、レベルセンサーの温度は一定とは限りませんので、使いづらいです。
レベルセンサーをアップグレードしたCR-10S Pro も販売されているようです。もし、センサーのアップグレードキットのようなものが販売されたら私も交換したいのですが、まだ販売されていないようです。
しょうがないので、プリント毎に手動でレベル調節をしています。慣れれば全然手間ではないです。
手動レベル調節
スライサーについて
この記事では、スライサーとして Cura(4.4) を使った場合の手順を説明しますが、他のスライサーでもGコードの書き換え等を少し変えるだけで同様のことができると思います。
調節方法の概要
Cura で Gコード を生成した場合、3Dプリンターは次のように動作します。
オートレベリング → ノズルを少し上げる → ベッドを加熱 → ノズルを加熱 → ノズルを下げる → プリントを開始
そこで Gコード を修正して、ベッドとノズルを加熱中もノズルを下げるようにし、加熱中に手動でレベル調節をします。
Gコードの修正
Cura による Gコード の冒頭は以下のようになっています。数値の部分は出力設定等によって異なります。日本語で説明コメントをつけてあります。
M140 S60 ;ヒートベッドを加熱開始 M105 ;温度を確認 M190 S60 ;ヒートベッドの加熱完了を待つ M104 S240 ;ノズル加熱開始 M105 ;温度を確認 M109 S240 ;ノズルの加熱完了を待つ M82 ;絶対座標モード M201 X500.00 Y500.00 Z100.00 E5000.00 ;最大加速度の設定 M203 X500.00 Y500.00 Z10.00 E50.00 ;最大フィードの設定 M204 P500.00 R1000.00 T500.00 ;初期加速度の設定 M205 X8.00 Y8.00 Z0.40 E5.00 ;ジャークの設定 M220 S100 ;フィード率の設定 M221 S100 ;フロー率の設定 G28 ;ヘッダをホームポジションに移動 M420 S1 Z2 ;メッシュオートレベリング有効、Z減衰値
上記のうち、M140、M82、G28 を冒頭に移動させ、ノズルを下げる(Z=0にする)コマンドを追加します。さらに、作業用の待ち時間を追加した例が以下になります。
;ここから追加した行 M140 S60 ;ヒートベッド加熱開始 G4 P10000 ;10秒待つ M82 ;絶対座標モード G28 ;ホームポジション G1 Z0.0 F6000 ;Z軸を0mmに下げる G4 P60000 ;60秒待つ ;ここから元からあったコード ;M140 S60 ;ヒートベッドを加熱開始 !コメントアウト! M105 ;温度を確認 M190 S60 ;ヒートベッドの加熱完了を待つ M104 S240 ;ノズル加熱開始 M105 ;温度を確認 M109 S240 ;ノズルの加熱完了を待つ ;M82 ;絶対座標モード !コメントアウト! M201 X500.00 Y500.00 Z100.00 E5000.00 ;最大加速度の設定 M203 X500.00 Y500.00 Z10.00 E50.00 ;最大フィードの設定 M204 P500.00 R1000.00 T500.00 ;初期加速度の設定 M205 X8.00 Y8.00 Z0.40 E5.00 ;ジャークの設定 M220 S100 ;フィード率の設定 M221 S100 ;フロー率の設定 ;G28 ;ヘッダをホームポジションに移動 !コメントアウト! M420 S1 Z2 ;メッシュオートレベリング有効、Z減衰値
実際の書き換え作業では、追加する冒頭部分をどこかにテキストで保存しておいて、コピペで追加して、元からあった M140、M82、G28 をコメントアウトするといいでしょう。
最初の M140 の行はベッド温度なので、ここは希望のベッド温度に変更してください。100℃にしたい場合は「M140 S100」にします。
待ち時間を追加した理由は次の項で説明します。
実際の調節手順
修正を加えたGコードをプリントします。
プリントを開始すると、ノズルが下がりますが、ノズルがベッドにぶつからないように、すかさず操作パネルの「Adjust」メニューからZ位置を調節します。特にレベルセンサーが温まっている場合にはZ位置が下がりますので、そのぶんZ位置を上げるように調節します。この調節時間を確保するためにGコードに10秒の待ち時間を追加しています。
ノズルが下がりましたら、ベッドの加熱、ノズルの加熱が始まります。少し時間がかかりますので、この間に手動でレベル調節をします。 隙間ゲージでノズルとベッドの間隔を確認しながら、「Adjust」メニューよりZ位置を上下させて調節します。私の環境だとベッドが温まるとノズルとベッドの間隔が少し狭くなります。
プリント開始時点でベットとノズルが既に温まっていた場合には、調節する時間が足りなくなる可能性があります。そのためGコードに60秒の待ち時間を追加して、加熱に60秒かからなかった場合でも、60秒は待つようにしています。
慣れないうちは調節に手間取るかもしれません。そのような場合は待ち時間を多めにするなどしてください。
終わりに
文章ですと面倒そうに感じるかもしれませんが、慣れるとどうってことないです。
将来的には、レベルセンサーの交換などができればいいのですが、現状でもそんなに手間ではないので、CR-10S Pro を使っていて、レベル調節に苦労している方がいましたら、やってみてください。
もっといい方法などあれば教えてください。
更新履歴
2020.01.29 公開
コメント
初めまして、失礼します。私も3dプリンター に興味を持ち中古でCR-10S Proを購入しました。取説も知識も無いので色々と渡り歩きました、拝見させて頂き大変参考になります。やはりこのセンサー評判悪いですね、今後BL touchなどのセンサー変更 期待してます!
コメントに気付いてませんでした。申し訳ないです。
ありがとうございます。
やる気おきなくてずっとなにもしてなかったのですが、もうやる気をださねば。
BL touchの部品は購入してあるので交換したいです。